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ナースが植物と暮らしたら

植物たちに囲まれて魔女のように生きる人の日常

淡々と

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今日はこの世でいちばんやさしいと思った詩を紹介したいと思う

 

 

私が
あなたのもとを
おとずれて
あいしていると
言いますね

 

私が魚の姿をしていたり
鳥の姿をしていても
それは
私ですから

 

ちゃんと
伝えに行きますね

 

あなたのまわりの
あなたに見える
いろんなものに見せかけて

 


       『私が』作:銀色夏生

 

 


初めて銀色夏生さんの詩に出会ったのは、たしか私が中学生のころだったと思う。
今ではすっかり大物になってしまったけれど、当時はまだ世に知られ始めたばかりの詩人で。
多感な少女期の私にとって、この人の紡ぎだす言葉たちから受ける衝撃はすさまじいものがありました。

 

どうしてあなたは知っているんですか?
もうすっかり大人のあなたなのに。
この胸の中のもやもやしたものを紐解いていとも簡単に言語化してしまうのはなぜですか?
詩集を開くたびにそう思いました。

 

そんなの簡単な事だったんですよね。
そう、彼女もまたかつてその時期を駆け抜けたひとりだったのだから。
大人になってみてわかる。
あれほど恐れていた『感情の鈍麻した人間になること』でしたが、今にたどり着いてみると、あの頃と本質はさほど変わらないんだってこと。

 

さて、それでこの詩のどのあたりがやさしいかって。
悲嘆にくれるわけでもなく
不条理を怒るわけでもなく
ただ淡々と。
発音のひとつひとつ
行間のひとつひとつに
救いようのない悲しみに寄り添う心を感じるのですよ。

 

モノローグ | 銀色夏生 公式ホームページ