ナースが植物と暮らしたら

植物たちに囲まれて魔女のように生きる人の日常

航海を終えた舟のような

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人の死を看取った後、看護師が何をするのかご存知ですか。

 

家族とのお別れが済んだ後、亡くなった方の全身を拭き清めて体腔に綿を詰め装束を着せて身なりを整える死後処置・・・いわゆるエンゼルケアを行います。

 

おくりびと』という映画で観た納棺師のようなうやうやしい所作ではないにしろ、イメージとしてはよく似ているかもしれません。ただ、違いを述べるとすれば、そこには記憶の断片が漂っているということ。身体を拭きながら、髪を梳きながら、生前の故人と交わした会話やエピソードのひとつひとつが思い出されます。

 

今までで一番記憶に残っているエンゼルケアは、着物をお召しになるのが好きだったAさんのもの。ご家族が用意してくださった装束がなんと浴衣ではなく着物でした。しかも簡易じゃなく本格的な帯まで。手渡された時のワタクシの衝撃伝わりますでしょうか?(滝汗)

 

「やるしかない」と同僚と目と目で会話して着付けに取り掛かったものの・・・案の定の悪戦苦闘。
別れの場面に不釣り合いな掛け声と流れる汗に、だんだんと可笑しさがこみあげてきて「Aさ~ん最後のクエストが難しすぎだよ~」とつぶやいてしまったのでした。

 

この世の生を全うされた方は皆、一様に穏やかな顔に見えるというのが私の印象です。大切な魂の容れものをお任せくださってありがとうございます。そしてお疲れ様でした。